マウスピース矯正ができない歯並びとは?治療が難しい歯並びとその理由を解説|アポロニア歯科クリニック|高知県高知市の歯医者

〒780-0966高知市福井扇町1182-1

北環状線サンシャインクロバ店交差点南へ
電車通り 町田病院交差点北へ

医療コラム TOPICS

<この記事を監修した人>

アポロニア歯科クリニック 院長 日野謙一郎

院長の日野は、インビザラインの上位認定であるダイヤモンド・プロバイダーとして豊富な経験と治療実績を生かし、難症例にも対応できる精密な診断力と治療計画立案力に定評をいただいております。 ISCD公認CERECトレーナー資格を持ち、審美歯科・補綴・CAD/CAM治療と矯正治療を併用した総合的/全顎的な治療も可能です。地域住民の健康増進と地域医療の発展に向け、各種イベントやセミナーを企画・開催し、情報を発信しています。

マウスピース矯正ができない歯並びとは?治療が難しい歯並びとその理由を解説

 

マウスピース矯正は目立ちにくく快適に治療できる方法として人気ですが、すべての歯並びに適用できるわけではありません。

重度の叢生(ガタつき)や骨格に関わる不正咬合など、マウスピースでは十分な力をかけにくいケースでは、ワイヤー矯正のほうが適していることがあります。


一方で、歯科医師の技術や治療計画によっては、難しい症例でも対応できる場合もあります。本記事では、マウスピース矯正が難しい歯並びの特徴や理由、他の選択肢についてわかりやすく解説します。


マウスピース矯正の特徴


マウスピース矯正は、少しずつ形の異なる透明なマウスピースを装着・交換していきながら歯を少しずつ動かす矯正方法で、目立ちにくく患者さまご自身で装置の取り外しができる点が大きな特徴です。

違和感や痛みも少ない上に食事や歯磨きがしやすく、口腔内を清潔に保ちやすいというメリットがあります。


一方、ワイヤー矯正と比べると歯にかけられる力が弱かったり、やや苦手とする動きもあるため、複雑な歯の移動や大きな噛み合わせの改善には時間がかかることがあります。

適応できる症例には幅があるため、自分の歯並びが適しているかどうかは歯科医師による診断が重要です。

 

マウスピース矯正ができない・難しい歯並びや骨格


 歯並びの中にはマウスピース矯正を行うことが難しいと判断されるものもあります。どのような歯並びが、適応とならないのか、なぜ難しいのかを以下でご説明いたします。


重度の叢生


叢生とは、歯の並ぶスペースが不足し、歯が重なったりねじれたりしてガタつく状態です。

軽度~中等度ならマウスピース矯正でも充分対応できますが、重度の叢生では必要な移動量が大きく、アライナーの弱い力だけでは十分に動かせないことがあります。


マウスピースは0.25mmの細かな移動を積み重ねる治療のため、スペース不足が大きいほど動きが遅れる可能性や、追加アライナーが必要になる可能性があります。

深い重なり合いや大きな捻転がある歯は三次元的な力を要し、ワイヤー矯正の方がスムーズに動かせるため、マウスピース単独では不向きと判断されやすい症例です。


重度の不正咬合


不正咬合は、上下の噛み合わせにズレがある状態で、「受け口」「出っ歯」「開咬」などが含まれます。

軽度ならマウスピースで対応可能ですが、大きく位置がズレている場合、マウスピースの力だけで噛み合わせ全体を正しい位置へ誘導するには限界があります。


噛み合わせ改善には前後・左右・上下方向に複雑な調整が必要で、ワイヤー矯正の方が三次元的なコントロールを行いやすく、精度も安定します。

さらに下の項でも触れる、骨格的な要因を伴う不正咬合では、歯の移動だけでは改善が不十分で、適応外と判断されるケースが出てきます。


抜歯を伴う治療


歯列のスペースが大きく足りない場合、並べるために抜歯が必要になることがあります。

抜歯後の広い隙間を閉じるには前歯や奥歯を大きく動かす必要があり、アライナーだけでは傾きや根の向きが計画からズレやすいのが特徴です。


最近ではインビザライン治療の症例数が増えて、システムも進化しているので、工夫やリカバリーを加えながら治療を進めればできないわけではありませんが、抜歯症例は治療難度が高く、治療をスムーズに成功させるためには歯科医師の治療経験大きく影響してきます。


抜歯後のスペースを閉じるための調整に対してはワイヤー矯正のほうが安定して力をかけやすいため、治療の一部分のみをワイヤー矯正で行うようなハイブリッド矯正を行う医院もあります。


マウスピース矯正での抜歯についてはこちらもご覧ください


顎の骨格に問題がある


歯並びの乱れが「歯の位置」ではなく「骨格の問題」による場合、マウスピース矯正では根本的な改善ができません。

上顎・下顎の前後差が大きい、横幅が狭い、顎が大きく前に出ているなどの状態は、歯の移動だけでは噛み合わせを整えられず、歯列矯正に加えて外科矯正が必要になることがあります。


マウスピースは歯の移動は行えますが、顎の位置や骨格の形を変える力は持っていません。そのため、骨格が原因の不正咬合ではマウスピース単独では不十分で、ワイヤー矯正や外科的処置との併用が一般的な治療選択になります。


埋伏歯がある


埋伏歯とは、本来生えるはずの歯が骨や歯ぐきの中に埋まったままの状態です。特に犬歯の埋伏は周囲への影響が大きく、ワイヤーで引っ張り出しながら位置を整える必要があります。

マウスピースの力は細かな移動に向いていますが、埋伏歯を骨の深部から引き出す強さや方向性の制御には向いていない面があります。


また、埋伏歯があると周囲の歯の動きが制限され、マウスピースが計画通り機能しないことがあります。

このため、埋伏歯を含む症例ではワイヤー矯正や外科処置を併用することが多く、マウスピース単独は適応外となりやすい理由です。


歯並び以外でマウスピース矯正ができない・難しいケース


歯並び以外にもお口の中の条件によってはマウスピース矯正の適応とならないものがあります。代表的なものを以下でご紹介いたします。


インプラント・差し歯が多い


インプラントや差し歯が多いと、マウスピース矯正が難しくなることがあります。

インプラントは歯を動かすために必要な歯根膜を介さず直接骨と結合していて動かせないため、周囲の歯だけで歯列バランスを整える必要があります。


固定された歯が多いほど動かせる範囲が限られ、理想的な仕上がりが得にくくなる場合があります。差し歯も、形態や接着状態によってはアタッチメントを付けられなかったり、力がかけにくいことがあります。

症例によって対応可能なこともありますが、慎重な診断が不可欠です。


重度の歯周病


歯周病が重度の場合、マウスピース矯正は基本的に適応外となります。歯を支える骨が弱っている状態では、矯正の力が過剰にかかると歯が揺れたり炎症が悪化する危険があります。

まず歯周病治療を優先し、歯ぐきや骨の状態を整えることが欠かせません。不安定なまま矯正を始めると、治療が進まないだけでなく歯の寿命を縮めることがあります。


軽度なら治療と並行できる場合もありますが、重度ではワイヤー矯正や歯周外科治療が必要になることも多く、慎重な判断が求められます。


自己管理ができない


マウスピース矯正は、患者さまご自身の管理が結果に直結する治療です。1日20時間以上の装着や正しい取り扱い、チューイーの使用が習慣にならないと、歯が計画通り動かず追加マウスピースが増え、治療が長引きます。


装着を忘れやすい方や紛失しやすい方、生活リズムが不規則な方は適さない場合があります。

ワイヤー矯正なら装置は常に歯に固定されているため自己管理の装置管理負担が少なく、治療が安定しやすい利点があります。自分の生活習慣に合う治療方法を選ぶことが重要です。


マウスピース矯正ができる歯並び


マウスピース矯正は、近年の症例数増加や技術向上により対応できる歯並びの範囲が大きく広がっています。軽度〜中等度の叢生やすきっ歯、前歯の軽いねじれ、上下の歯列の乱れなど、多くの症例で適応が可能です。


また、以前は難しいとされていた噛み合わせの調整や、抜歯矯正にも対応できるケースが増えており、アタッチメントやゴム掛けを併用することでより精密な動きが可能になっています。

マウスピース矯正は目立ちにくく快適で、生活への負担が少ないため、幅広い年齢層に選ばれる治療法となっています。


ただし、実際に治療できるかどうかは歯科医師の診断によって大きく異なるため、専門の医院での精密検査が欠かせません。

 

マウスピース矯正ができない場合の治療法


マウスピース矯正が適応とならない、と診断された場合、他にどんな選択肢があるのでしょうか。マウスピース矯正以外で歯並びを整える方法をご紹介いたします。


ワイヤー矯正


マウスピース矯正が適応外の場合、最も一般的な選択肢がワイヤー矯正です。歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーの力で歯を立体的に動かすため、重度の叢生や大きな噛み合わせのズレにも対応しやすいのが特徴です。


ワイヤー矯正には「表側矯正」と「裏側矯正」があり、表側は治療効果が安定しやすく、裏側は目立ちにくい点がメリットです。

マウスピースより強い力をかけられるため、抜歯症例や複雑な移動が必要なケースでも治療の精度を確保できます。

歴史も古く症例数も段違いに多い、信頼性の高い治療法です。


ハイブリッド矯正


ハイブリッド矯正は、マウスピースとワイヤー矯正を併用する治療方法で、それぞれの利点を組み合わせて効率良く歯並びを整えます。

見える部分はマウスピースで目立ちにくく治療し、難易度の高い動きにはワイヤーを使うなど、症例に応じて柔軟に対応できます。


重度の叢生や抜歯症例など、マウスピース単独では対応しにくいケースでも治療の幅が広がるのが特徴です。費用は単独の場合より少し上がりますが、治療効率と審美性の両立が可能になります。


外科矯正


外科矯正は、骨格が原因の不正咬合に対して行われる治療で、手術と矯正を組み合わせて根本改善を図ります。

上顎・下顎の位置関係に大きなズレがある場合や、骨の大きさに不均衡があるケースでは、歯だけの移動では十分な改善ができません。

外科手術で顎の位置やサイズを整えた後、ワイヤー矯正などで仕上げを行うことで、機能的にも見た目にも大きな改善が得られます。


治療期間は長くなりますが、骨格性の不正咬合に対して最も効果的な治療選択肢の一つです。特殊な矯正治療のため、取り扱っている医院が限られるため、医院選びも重要となります。


セラミック矯正


セラミック矯正は、歯を削ってセラミックの被せ物やラミネートベニアで見た目を整える治療で、歯自体を動かす矯正とは異なります。

大きな歯並びの改善や噛み合わせの調整はできませんが、短期間で見た目を整えたい場合に適しています。


前歯のすき間や軽度の形の不揃いなど、審美目的のニーズに応えやすい治療法です。ただし削る量や歯の負担があるため、メリットデメリットをよく知った上で慎重な判断が必要です。

マウスピースが適応外で、なおかつ「短期間で見た目を整えたい」という方に選ばれやすい選択肢です。


マウスピース矯正ができない歯並びかもしれないと不安な方は、高知市の「アポロニア歯科クリニック」へご相談ください


マウスピース矯正が自分に向いているのか、難しい歯並びに当てはまるのではないかと不安を感じている方は、高知市の「アポロニア歯科クリニック」へぜひご相談ください。

当院はインビザライン専門の矯正歯科として、豊富な症例経験に基づき、歯並びや骨格の状態を丁寧に診断し、最適な治療方法をご提案します。


当院ではマウスピース矯正での矯正治療のみの取り扱いとなりますが、マウスピース矯正が難しい場合と判断した場合は、その理由をきちんとご説明した上で他院様へご紹介することも可能です。

初回相談では疑問や不安をしっかり伺いますので、まずはお気軽にお問い合わせください。ご予約はWEBより受け付けております。

アポロニア歯科の矯正治療について


(初回)矯正予約はこちら