マウスピース矯正は「目立ちにくい」「取り外せる」といったメリットがある一方で、「危険」「失敗しやすい」といった声も耳にすることもあるのではないでしょうか。
その多くは、治療経験が不十分な歯科医師が行ったことで噛み合わせが悪化したり、計画通りに歯が動かないケースがあるためです。
マウスピース矯正は装置がシンプルに見えますが、精密な診断と計画が不可欠です。
本記事では、マウスピース矯正が危険といわれる理由と、安心して治療を成功させるためのポイントを解説します。
マウスピース矯正が危険と言われるのはなぜ？
シミュレーション通りにならないケースがある
マウスピース矯正は、治療前にコンピューターで歯の動きをシミュレーションし、それに沿って複数枚のマウスピースを順番に装着して歯を動かしていきます。
しかし、実際の口腔内の状態は歯と骨の状態、筋肉の使い方、噛みしめ方、日常の癖などによって個人差があり、シミュレーション通りに動かないことがあります。
特に、噛み合わせを大きく改善する必要がある症例や、歯の移動量が多い治療では、計画と実際に差が生じる可能性が高くなります。
そのため、途中で微調整（再スキャンやアライナーの作り直し）が必要になる場合も少なくありません。
マウスピース矯正が「簡単」「放っておいても動く」と誤解されることがありますが、実際には治療中の管理や状態を見極めての細かな調整が極めて重要です。
適応できる症例が限られている
マウスピース矯正は万能な治療方法ではなく、向いている症例と向いていない症例があります。
例えば、歯列の乱れが軽度〜中等度の場合は適応しやすいですが、骨格的な受け口や大きな歯のガタつき、抜歯が必要なケースなどでは、ワイヤー矯正の方が効果的な場合があります。
見た目や費用面だけをみて、無理にマウスピース矯正を選んでしまうと、噛み合わせが悪化したり、歯列を整えるまでに余計な費用や期間がかかったりするリスクがあります。
そのため、治療前には精密検査を実施し、歯科医師が「本当にマウスピースで効果的に治せるか」を正しく判断することが不可欠です。
経験の少ない歯科医師が治療を行う場合がある
マウスピース矯正は「簡単に始められる矯正」と思われがちですが、実際には歯の動き方や噛み合わせの設計に高度な知識が必要です。
しかし近年、マウスピース矯正を取り扱う医院が増えた一方で、十分な経験や症例数がないまま治療を行う歯科医師も存在します。
その結果、歯が意図しない方向へ動いたり、噛み合わせが逆に悪くなったりするケースが「危険」と言われる原因となっています。
マウスピース矯正を成功させるためには、症例数が多く、噛み合わせに精通した歯科医師を選ぶことが最も重要です。
知らないと危険？マウスピース矯正のリスク
マウスピース矯正は便利で快適な治療方法ですが、もちろんリスクはゼロではありません。その中でも起こりやすいリスクについてご説明いたします。
歯ぐきが下がるリスク
マウスピース矯正では、歯を動かす際に歯ぐきや骨に一定の負担がかかるため、歯ぐきが下がる「歯肉退縮」が起こる可能性があります。
特に、歯周組織がもともと薄い方（日本人はこの特徴を持っている人が多いです）や、歯磨きが不十分で歯肉に炎症がある状態で矯正を進めた場合、退縮が進行しやすくなります。
歯ぐきが下がると、歯が長く見える、冷たいものがしみる、将来の歯の寿命に影響する、といった問題が生じることがあります。
また、一般的に「早く動かしたいから強い力をかける」という考えは逆効果で、組織にダメージを与えやすくなります。
歯科医師が歯周状態を見極め、無理のない力で歯を動かす治療計画を立てることが重要です。
歯茎が下がるリスクに関しては、ワイヤー矯正でも同様にあり、全ての矯正治療において慎重に考慮しなければならないポイントです。
事前に十分な説明を受け、リスクを理解した上で治療を始めましょう。
理想の歯並びにならないリスク
マウスピース矯正は、3Dシミュレーションで理想の位置を設計しますが、実際の歯の動きは、噛み癖・舌癖・口呼吸・頬の力など、多くの習慣や条件によって左右されます。
そのため、シミュレーション通りに歯が動かず、「あと少し前歯の位置が気になる」「噛み合わせが合わない」といった差が出ることがあります。
その場合は、再スキャンを行い、追加アライナーによる仕上げ調整を行いますが、元の診断が不適切な場合は、調整だけでは改善しきれないこともあります。
また、取り外しが可能な装置であるため、装置の着用時間確保は患者さまに委ねられます。当然、装置を外している間は歯は動きません。
患者さま自身が推奨の装着時間を守れていない場合、歯が正しく動かない原因にもなります。
理想の仕上がりに近づけるためには、治療前の診断精度と、治療中の経過観察・修正対応、患者さまの努力が非常に重要です。
後戻りのリスク
矯正治療で歯を動かしても、そのままでは歯は元の位置へ戻ろうとします。
これが「後戻り」です。マウスピース矯正後には、リテーナー（保定装置）を一定期間、毎日決められた時間だけ装着し、歯の位置を安定させる必要があります。
しかし、「治療が終わったから大丈夫」と思って保定を怠ると、数ヶ月〜数年で元の並びに近づいてしまうことがあります。
特に、元々歯並びが乱れていた部分や動きの大きかった部位は戻りやすいため、保定は非常に重要です。
また、噛み合わせの調整が不十分なまま保定に移行した場合も、後戻りが起こりやすくなります。
矯正は「歯を動かして終わり」ではなく、「きれいな状態を安定させてこそ成功」と理解しておくことが大切です。
マウスピース矯正で危険な失敗を防ぐための重要なポイント
マウスピース矯正で危険な失敗を防ぐためにこれだけは守ってほしい、重要なポイントについてご紹介いたします。
矯正治療を始める際にはぜひこのポイントに注意しながら進めていくようにしましょう。
マウスピース矯正の治療経験が豊富な歯科医院を選ぶ
マウスピース矯正は、装置自体はシンプルに見えますが、歯をどの方向にどれだけ動かすのか、噛み合わせをどこで安定させるのかといった「治療設計」が非常に重要です。
そのため、マウスピースを扱った症例数が多い歯科医師ほど、適切な治療計画を立てやすく、途中での微調整にも柔軟に対応できます。
逆に、経験が浅い歯科医師の場合、シミュレーション通りに進まない、噛み合わせが悪化する、必要な微調整が行えないといったリスクが高まります。
治療中に予期せぬトラブルが起きた場合も適切な対応が取れない可能性があります。
医院を選ぶ際は、「何例以上行っているか」「難症例の経験があるか」「治療後の症例写真があるか」などを確認し、安心して任せられる歯科医院を選ぶことが大切です。
マウスピース矯正のメリット・デメリットを理解する
マウスピース矯正には、透明で目立ちにくい、取り外しができて衛生管理がしやすいといった様々なメリットがあります。
一方で、毎日決められた時間装着する自己管理が必要であり、適応できない症例もあるというデメリットも存在します。
メリットだけを見て「簡単な矯正」と思い込むと、装着時間が不足したり、治療へのモチベーションが続かなくなることにつながります。
事前に歯科医師から、マウスピース矯正が自分の歯並びに適しているか、治療期間はどれくらいか、追加アライナー（再調整）の可能性はあるか、などをしっかり説明してもらい、納得したうえで治療を始めることが重要です。
歯科医院のフォロー体制を確認する
マウスピース矯正は自宅で進める部分が多いため、定期的なチェックや困った時に相談できる体制が重要です。
通院の頻度は医院によって異なりますが、一般的には1〜2ヶ月ごとに経過を確認します。
この際、歯の動きがシミュレーションと合っているか、噛み合わせに問題がないかを適切に見極めてもらう必要があります。
また、LINEや電話での相談対応、アライナーの破損や紛失時の迅速な対応、途中経過での再スキャンが可能かなども治療継続の安心材料となります。
「治療を始めたら放置される」のではなく、いつでも相談できるフォロー体制が整っている医院を選びましょう。
理想の歯並びについて歯科医院と話し合う
「どの位置まで動かしたいか」「どのような横顔にしたいか」といった理想は、患者さまごとに異なります。
マウスピース矯正はシミュレーションで仕上がりをイメージしやすいため、治療前のカウンセリングでしっかり要望を共有することが大切です。
ここで曖昧なまま進めてしまうと、「思っていた歯並びと違う」「前歯の角度が気になる」といった不満が生じやすくなります。
歯科医師からも、顔全体のバランス、噛み合わせの安定性、将来の歯の健康を踏まえた提案がされるため、互いに認識を共有した状態で治療計画を立てることが、満足度の高い治療結果につながります。
矯正中の違和感はすぐに相談する
矯正中に「噛みにくい」「痛みが強い」「マウスピースが浮く」「発音がしにくい」といった違和感を覚えることは珍しくありません。
これらは治療の進行に伴う一時的なもののこともありますが、調整が必要なサインであることもあります。
自己判断で放置してしまうと、噛み合わせがずれたり、歯が意図しない方向へ動いてしまう可能性が高まります。
違和感や不安を感じたら、遠慮せず歯科医院へ早めに相談することが大切です。
必要に応じてアライナーの再作成や噛み合わせ調整が行われ、治療を安全かつ確実に進めることができます。
「違和感は放置しない」が成功の重要なポイントです。
最近ではラインでの質問対応や歯科医師による遠隔管理システムを活用している歯科医院も増えていますので、それらを活用するのも良いでしょう。
口腔ケアを徹底する
マウスピース矯正では、食事の後に必ず歯磨きをしてから装着することで、虫歯や歯周病を防ぐことができます。
食べかすが残ったままマウスピースを装着すると、汚れが密閉された状態で細菌が増えやすく、口腔環境が悪化してしまいます。
また、アライナー自体も専用の洗浄剤やぬるま湯で清潔に保つことが必要です。
学校や外出先でも歯磨きできるよう、歯ブラシ・歯磨き粉・マウスウォッシュ・歯磨きシートなどを携帯すると安心です。
毎日の口腔ケアは、矯正中のトラブル防止だけでなく、治療後の美しい歯並びと歯の健康を長く維持するための重要な習慣になります。
マウスピース矯正に不安がある方は、高知市の「アポロニア歯科クリニック」へご相談ください
アポロニア歯科クリニックでは、インビザラインを専門に矯正治療を行っており、これまで多くの患者さまの歯並び改善に携わってきました。
マウスピース矯正は適切な診断と治療計画があれば、安全に美しい仕上がりを目指すことができます。
当院では、治療前のカウンセリングで不安や疑問を丁寧にお伺いし、患者さま一人ひとりに合わせた最適な治療方法をご提案します。
「本当に自分に合うのか不安」「失敗しない医院を選びたい」と感じている方も、ぜひ一度ご相談ください。ご予約・お問い合わせはWEBからお気軽にどうぞ。
あなたの理想の笑顔づくりをサポートします。