インビザラインのゴム掛けとは?目的や種類、タイミングを歯科医師が解説|アポロニア歯科クリニック|高知県高知市の歯医者

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医療コラム TOPICS

<この記事を監修した人>

アポロニア歯科クリニック 院長 日野謙一郎

院長の日野は、インビザラインの上位認定であるダイヤモンド・プロバイダーとして豊富な経験と治療実績を生かし、難症例にも対応できる精密な診断力と治療計画立案力に定評をいただいております。 ISCD公認CERECトレーナー資格を持ち、審美歯科・補綴・CAD/CAM治療と矯正治療を併用した総合的/全顎的な治療も可能です。地域住民の健康増進と地域医療の発展に向け、各種イベントやセミナーを企画・開催し、情報を発信しています。

インビザラインのゴム掛けとは?目的や種類、タイミングを歯科医師が解説

 

インビザライン治療で使用される「ゴム掛け(顎間ゴム)」は、歯を動かす力を補助し、かみ合わせや歯並びをより正確に整えるための大切なステップです。

すべての患者さまに必要なわけではなく、出っ歯や受け口など、歯の動き方や噛み合わせの状態によって使用の有無が異なります。


本記事では、インビザラインのゴム掛けの目的や種類、装着のタイミング、治療期間への影響などを歯科医師の視点からわかりやすく解説します。


インビザラインのゴム掛けとは


インビザラインのゴム掛け(顎間ゴム)とは、マウスピース矯正中に上下の歯を正しい位置関係に導くために使用する小さなゴムのことです。

歯と歯の間、もしくはマウスピースに取り付けたボタンやフックにゴムを掛けることで、マウスピースだけでは得られにくい「上下方向」や「前後方向」の力を加え、噛み合わせのずれや歯並びの微調整を行います。


出っ歯(上顎前突)や受け口(反対咬合)、開咬など様々な歯並びの改善にも有効で、より理想的な咬合を目指し、治療の完成度を高めるための補助的な処置です。

ゴムのつけ外し、交換は歯科医師の指示通りに、患者さま自身で行っていただく必要があり、毎日継続して長い時間使用することが成功への近道となります。


食事や歯磨きの際はマウスピースと一緒に外して行います。

期間は1ヶ月ほどで終わるケースもあれば数ヶ月〜1年ほど必要となるケースもあります。歯並びの状態と使用状況によって異なります。


インビザラインのゴム掛けの種類 


インビザライン治療におけるゴム掛けには、歯の動きや噛み合わせの改善目的に応じて、いくつかの種類があります。

これらは、歯列全体のバランスを整えたり、上下の顎の前後関係を調整したりするために用いられ、症例によって使用するゴムの位置や掛け方が異なります。

代表的なものとして「垂直ゴム」「交叉ゴム」「Ⅱ級ゴム」「Ⅲ級ゴム」の4種類が挙げられます。以下では、それぞれの目的や特徴、適応される症例について詳しく解説します。


垂直ゴム


垂直ゴムは、上下の歯を垂直方向に引き寄せて噛み合わせの高さを調整するために使用します。

特に、上下の歯がしっかり噛み合わず「すき間が空いてしまう状態(開咬)」や、一部の歯だけが噛み合っていないケースで効果を発揮します。


垂直方向に力を加えることで、歯を挺出(ひっぱり出す動き)させ、噛み合わせが浅い部分を改善したり高さが不均衡な部分を整えたりすることで全体的にしっかりと咬合させることができます。


インビザラインは水平方向の移動は得意ですが垂直方向の動きや回転の動きには限界があるので、ゴムかけは細かなかみ合わせの仕上げに欠かせない補助要素となります。


交叉ゴム


交叉ゴムは、上下の歯列が左右にずれている場合に、歯並びを左右方向へ誘導し適切な位置に戻すことを目的としたゴム掛けです。


例えば、噛んだときに片側だけが内側または外側に倒れ込んでいる「交叉咬合」や、一部の歯の被蓋が正しくない「鋏状咬合」などの改善に使用されます。

ゴムを斜めに掛けることで、歯列に横方向の力が加わり、歯列を適切な被蓋にすることが可能になります。


また、左右のバランスが良くなることで、見た目だけでなく咀嚼時の安定性も向上する点がメリットです。

ただし、力の方向が複雑なため、ゴムの掛け方を間違えると逆効果になることがあります。

初回は歯科医師やスタッフから正しい掛け方を丁寧に確認し、習慣として確実に装着することが重要です。  


Ⅱ級ゴム


Ⅱ級ゴムは、出っ歯(上顎前突)の改善に用いられるゴム掛けで、上の歯が前に出ている、もしくは下顎が後ろに引っ込んでいる状態を正しい位置に誘導し、上下のバランスを整える役割があります。

上顎の前歯側(主に犬歯)にボタンやフックを付け、下顎臼歯側(主に第一大臼歯)とゴムを掛けることで、下顎が前方へ移動しやすくなり、全体の噛み合わせが改善されます。


インビザラインは前後方向の大きな移動が比較的得意な矯正方法ですが、噛み合わせの最終的な仕上げにはⅡ級ゴムによる補助力が有効です。


特に、横顔の印象に関わる口元の突出感が軽減されるため、Eラインのような見た目の変化も期待できます。

一方で、継続的な使用が必要となるため、装着時間が短いと治療期間が長引くことがあります。毎日の習慣として意識しながら取り組むことが成功のポイントです。 


Ⅲ級ゴム


Ⅲ級ゴムは、受け口(反対咬合)に対して使用され、下の歯列が前に出ている状態を改善し、上顎と下顎の位置関係を整えるためのゴム掛けです。

下顎前歯部に付けたボタンから上顎臼歯部方向へゴムを掛けることで、下顎が後方へ誘導され、前歯の適切な噛み合わせを実現します。


Ⅲ級ゴムは骨格的な要因が強い場合には単独での改善が難しいこともありますが、軽度〜中等度の反対咬合や歯の傾きによる噛み合わせ不良には効果が期待できます。

また、早期に使用を始めることでより安定した改善が得られることも特徴です。


使用期間は症例によって異なりますが、継続的な装着が求められる点は他のゴム掛けと共通しています。

日常生活の中で無理なく装着できるよう、取り外しのタイミングや習慣化の工夫を行うことが大切です。


インビザラインのゴム掛けをするタイミング


インビザラインのゴム掛けを開始するタイミングは、患者さまの歯並びや噛み合わせの状態、そして治療計画によって異なります。

一般的には、ある程度歯が動き、上下の歯の位置関係を細かく調整したい段階で指示されることが多いです。


特に、出っ歯や受け口など上下の顎の前後差を改善したい場合や、噛み合わせがうまく合っていない部分を仕上げたい段階で使用されます。

また、ゴム掛けは「できるだけ長時間つけること」が効果に直結するため、マウスピースと同様に、食事と歯磨きの時間以外は装着するのが理想です。


歯科医師の指示に従い、決められたタイミングと装着時間を守ることが、治療をスムーズに進めるための大切なポイントです。

 

インビザラインのゴム掛けのやり方・注意点


ゴムかけは患者さまご自身でゴムを装着するため、やり方や注意点についてしっかり把握しておく必要があります。

以下の点についてよく確認し、わからない点があれば歯科医師に確認することが必要です。


マウスピースの突起にしっかりと掛ける


インビザラインのゴム掛けは、マウスピースに設計された「フック」や、歯に取り付けられた「ボタン」と呼ばれる突起にゴムを引っ掛けて行います。

上下のフックやボタンの組み合わせ、ボタンの位置は症例や目的によって様々です。


ゴムが正しい位置に掛かっていないと、力が意図せず別方向へ働き、歯の動きが計画通りに進まないだけでなく、噛み合わせのズレが悪化することもあります。

慣れるまでは鏡を見ながらゆっくりと装着し、毎回同じ位置に掛けられているか確認しましょう。


また、最初は手元が見えにくいと感じる人も多いため、歯科医院で装着方法を教わった際、写真や動画で記録しておくと、時間が経っても正確な装着が再現でき、安心して続けやすくなります。


ゴムは毎日新しいものにする


顎間ゴムは伸縮性が命であり、使い続けると徐々に伸びて力が弱まります。そのため、ゴムは基本的に「毎日新しいものに交換する」ことが推奨されています。

使いまわしをすると、十分な矯正力がかからず、治療期間が延びてしまう可能性があります。


また、食事や歯磨きの際に外したゴムは清潔さが保てなくなることが多いため、その都度新しいものに替えると衛生面でも安心です。

特に、湿度や体温でゴムが劣化しやすいため、見た目が変わらなくても性能は落ちています。

医院でまとめて処方されることが多いので、残量を確認しつつ、自宅・外出先・職場に分けて保管しておくと管理がスムーズです。


外出先ではゴムを持ち歩く


ゴム掛けはできるだけ長時間継続することが効果につながります。そして非常に小さいため無くしやすいです。

外出中に食事をした後や、うっかり外した時に無くしてしまうことも多く、そんな時にすぐ新しいものに交換して使用継続できるよう、ケースにゴムを入れて持ち歩く習慣をつけましょう。


バッグやポーチに入れておくだけでなく、職場や学校のロッカーにも予備を置いておくと安心です。

また、公共の場でも装着がスムーズに行えるよう、指にかけて引っ張る専用の「ゴム掛けスティック」を使うと、爪を痛める心配が減り、より簡単に装着できます。

「いつでも交換できる状態」を作ることで、装着時間が途切れず、治療効果を安定して保てます。


自己判断で装着の中断は避ける


ゴム掛けは時に違和感を伴うことがあり、痛みや引っ張られる感覚に不安を感じる場合もあります。

しかし、違和感があるからといって自己判断で装着を中断すると、治療計画が大きく狂い、かみ合わせが逆に不安定になることもあります。


もし痛みが強い、掛け方がわからなくなった、ゴムが頻繁に外れる、などの問題がある場合は、自己判断せず歯科医師へ相談しましょう。


特に、短期間装着をやめただけでも歯は元の位置に戻りやすく、リカバリーに時間を要することがあります。

途中でやめてしまうより、早めに不安点を共有することが、結果的に最短で理想の仕上がりにつながります。


1日20時間以上装着する


ゴム掛けの効果は「装着時間」に大きく左右されます。理想は1日20時間以上、食事と歯磨きの時間以外は常に装着しておくことです。

装着時間が短いと、ゴムによる力が十分に伝わらず、治療効果が出にくくなります。


習慣化のコツとしては、初めの一週間は装着時間を記録してみる、マウスピースを外した際に必ずゴムも一緒に保管する、スマホのリマインダー機能を活用することなどが挙げられます。


また、生活リズムの中で「外すタイミング」「装着し直すタイミング」を固定してしまうと習慣化しやすく、意識せずとも継続できるようになります。

毎日の小さな積み重ねが治療の成功に直結するため、時間と意識のコントロールが非常に大切です。


インビザラインを検討している方は、高知市の「アポロニア歯科クリニック」へご相談ください


アポロニア歯科クリニックでは、インビザラインによる矯正治療を専門的に行っており、これまで多くの患者さまの歯並びと噛み合わせの改善をサポートしてきました。

歯並びのお悩みは一人ひとり異なるため、当院では丁寧なカウンセリングと精密な診断をもとに、患者さまに最適な治療計画をご提案します。


目立ちにくい矯正を始めたい、治療中の見た目が気になる、仕事や学校と両立しながら治したいなど、どのようなお悩みでもまずはご相談ください。

インビザラインが自分に合うか知りたい方のご相談も歓迎しています。ご予約・お問い合わせはWEBからお気軽にどうぞ。

あなたの理想の笑顔づくりを全力でサポートいたします。 


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