「妊娠中でもインビザライン矯正は続けられるの？」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
結論として、妊娠中でもインビザライン矯正は可能ですが、妊娠初期のつわりやホルモンバランスの変化による口内トラブルなど、注意すべきポイントがあります。
また、妊娠中のレントゲン撮影や麻酔の使用について不安を感じる方もいるかもしれません。
この記事では、妊娠中のインビザライン矯正のポイントについて詳しく解説しますので、治療を検討している方はぜひご覧ください。
妊娠中にインビザライン矯正はできる？
インビザラインは、妊娠中でも安心して続けられる治療法のひとつです。ワイヤー矯正とは異なり、患者様自身でマウスピースの取り外しができるため、つわりなどで気持ち悪くなった際も比較的対応しやすいのが特徴です。
しかし、妊娠中のインビザライン矯正にもいくつかの注意点があります。
妊娠初期のつわりやホルモンバランスの変化による歯ぐきの腫れ、唾液量の増減など、口内環境が変化することがあるため、ケアがより重要になりますし、治療開始前のレントゲン撮影や抜歯が必要な場合、妊娠中は避けたほうがよいケースもあります。
妊娠が判明している場合や、治療中に妊娠が分かった場合は、必ず歯科医師に相談し、安全な治療を進めるようにしましょう。
妊娠中の歯列矯正でインビザラインを選択するメリット
妊娠中のインビザライン矯正にはワイヤー矯正に比べてメリットがあります。以下で メリットについてご説明いたします。
通院頻度が低い
妊娠中は体調が不安定になりやすく、頻繁な通院が負担になることがあります。ワイヤー矯正の場合は歯科医師がワイヤーを調整しない限り新たな動きが生まれないため、1カ月に1回程度の通院が必須となり、さらに調整時の痛みも大きくなりがちです。
しかし、インビザライン矯正はすでに手元にあるマウスピースを患者様ご自身で交換して治療を進めるため、大きなトラブルがなければ3ヶ月ほど通院間隔をあけることも可能で、妊娠中でも無理なく治療を続けられるのが大きなメリットです。
また、妊娠後期にはお腹が大きくなり、長時間の診療台での治療が辛くなることもあります。インビザラインは通院時の処置がワイヤー矯正に比べ、比較的短時間で済むため、体調に負担をかけずに治療を継続できるのもポイントです。
さらに、オンライン診療やアプリによる遠隔管理システム、郵送でのマウスピース受け取りに対応している歯科医院も増えており、体調が優れない時期でも柔軟に対応しやすいというメリットがあります。
自由に取り外せる
インビザラインの最大の特徴は、マウスピースを自由に取り外せることです。妊娠中はホルモンバランスの変化によって唾液の分泌量が増えたり、つわりで嘔吐しやすくなったりすることがあります。
ワイヤー矯正では固定された装置が口内にあるため、通常より違和感や気持ち悪さを感じたり、歯磨きが難しくなったりすることがありますが、インビザラインなら不快感があるときに一時的に外すことができるため、妊娠中の体調変化にも対応しやすいです。
また、口腔内のケアのしやすさもメリットの一つです。ワイヤー矯正の場合、装置に食べ物が詰まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
一方、インビザラインなら食事の際に取り外せるため、通常通りの歯磨きが可能です。
妊娠中はホルモンの影響で歯茎に炎症が起きやすくなるため、衛生管理がしやすいインビザラインは大きなメリットといえるでしょう。
妊娠中のインビザライン治療で起こりやすい口腔トラブル
妊娠中はホルモンバランスに変化が起こるためお口の中のトラブルも起こりやすく、特につわりがある方はお口のケアが十分にできないこともあります。妊娠中に起こりやすいトラブルについて以下でご説明いたします。
妊娠性歯肉炎
妊娠中はホルモンバランスの変化により、「妊娠性歯肉炎」が起こりやすくなります。特にエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンが増加することで、歯ぐきが炎症を起こしやすくなり、赤く腫れたり出血しやすくなったりすることがあります。
インビザラインのマウスピースは患者様の歯列にぴったりとフィットするよう作られていて、歯肉ギリギリの位置までマウスピースで覆います。そのためマウスピースを装着していると、歯ぐきへの刺激が増え、炎症を悪化させる可能性があります。
さらに、つわりによって歯磨きが十分にできないと、歯垢が溜まりやすくなり、症状が進行することもあります。
虫歯
妊娠中は唾液の分泌量が増減することがあります。唾液には抗菌作用や自浄作用があり、虫歯菌の繁殖を抑えることができますが、唾液の分泌量が減少するとこの働きが弱まるため、虫歯になるリスクが高まります。
さらに、つわりによって歯磨きを十分に行えないと、歯の表面に汚れが残り、虫歯が進行しやすくなります。
インビザラインはワイヤー矯正に比べて歯磨きがしやすいですが、汚れが残った状態でマウスピースを装着すると虫歯菌のエサとなる糖分がマウスピースの中に閉じ込められて歯と密着した状態が作られてしまい、虫歯になるリスクが大幅にアップしてしまうので注意が必要です。
歯周病
妊娠中のホルモンバランスの変化は、歯周病のリスクも高めます。特に、妊娠中の歯周病は放置すると早産や低体重児出産のリスクが上がることが知られています。
また、歯周病は歯を支える土台を溶かしてしまい歯を失う原因にもなります。
インビザライン治療中は、マウスピースの影響で唾液の分泌減少や口腔ケアのしづらさ、ホルモンバランスの変化により歯周病のリスクがさらに高まることがあります。そのため、歯ぐきが腫れたり、出血が見られたりした場合は、早めに歯科医師に相談し、適切なケアを行うことが重要です。
妊娠中のインビザライン治療で注意すべきポイント
インビザライン治療において、妊娠中だからこそ特に気をつけるべきポイントをご説明いたします。
口腔ケアを徹底する
妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯ぐきが腫れやすくなり、妊娠性歯肉炎や歯周病のリスクが高まることが知られています。
また、つわりによって歯磨きが十分にできないことが原因で、虫歯や歯周病が進行しやすくなることもあります。汚れの残った状態でインビザラインのマウスピースを装着すると、歯とマウスピースの間に汚れが閉じ込められて密着した状態が作り出されてしまうため、より丁寧な口腔ケアが求められます。
対策として、フッ素入りの歯磨き粉を使用し、毎食後しっかりと歯を磨くことが重要です。歯磨きの際には歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、マウスピースによる汚れの蓄積を防ぎ、口腔内を清潔に保つことができます。
つわりがひどく、歯磨きが難しい場合は、うがいやマウスウォッシュを活用するのも有効な方法です。妊娠中の口腔環境は変化しやすいため、定期的に歯科医院でクリーニングを受け、歯科医師と相談しながら口腔ケアを進めていくことをおすすめします。
体調が優れない場合は治療を中断する
妊娠中は、つわりや貧血、倦怠感などの体調変化が起こりやすく、通院が難しくなることもあります。また、妊娠後期にはお腹が大きくなり、長時間の診療台での治療が負担に感じることもあるでしょう。
そのため、体調が優れないときは無理をせず、インビザラインの治療を一時的に中断することも選択肢のひとつです。インビザラインは、ワイヤー矯正と異なり取り外しが可能なため、一時的に治療を休みたいと思った時に対応しやすいのもメリットです。
ただし、長期間マウスピースを装着していないと歯の位置が変わっていくため、再開する際には再度スキャンとマウスピースの作製から始める可能性が高くなります。
妊娠中に矯正を始めたり、矯正治療中に妊娠がわかった場合には治療中断の可能性についてもよく相談しておくことが大切です。
インビザライン治療中であることを産婦人科に伝える
妊娠中のインビザライン治療を安全に進めるためには、産婦人科の医師にも矯正治療を受けていることを伝えておくことが大切です。
特に、妊娠初期にレントゲン撮影や抜歯が必要な場合、胎児への影響を考慮して治療を延期する判断をすることがあります。
また、妊娠中の体調変化によって口腔内の環境が変わることを考慮し、歯科医師と産婦人科医が連携して治療を進めることで、より安心して矯正治療を続けることができます。
場合によっては産婦人科医の指示を受けてインビザライン矯正を延期・中断することも考えられます。インビザラインは妊娠中でも続けられる矯正治療ですが、妊娠による体調変化や口腔環境の影響を受けやすいため、無理なく進めることが大切です。
母体と胎児の健康を最優先として歯科医師と産婦人科医の両方と相談しながら、安全な矯正治療を心掛けましょう。
妊娠中のインビザライン治療でよくある質問
妊娠中の治療の制限についてご心配な方も多いと思います。よく患者様からご質問いただく点についてご説明いたします。
妊娠中に麻酔は使える？
妊娠中でも歯科治療で麻酔を使用することは可能ですが、できるだけ控えるのが一般的です。特に、妊娠初期（0〜12週）は胎児の重要な器官が形成される時期のため、不要な麻酔の使用は避けるべきとされています。
歯科で使用される局所麻酔は、基本的に胎児への影響が少ないとされていますが、妊娠中の体調や状態によっては、麻酔なしでの処置を検討することもあります。
初期だけでなく後期もお腹が大きくなり体調不良を起こしやすいため、麻酔の必要な処置は中期に行われます。麻酔が必要な治療を受ける際は、事前に産婦人科医と相談し、妊娠中であることを歯科医師にも伝えることが大切です。
妊娠中にレントゲン撮影はできる？
妊娠中でもレントゲン撮影は可能ですが、胎児への影響を考慮し、できるだけ避けるのが一般的です。歯科でのレントゲン撮影は、被曝量が非常に少なく、照射範囲も防護エプロンを着用すれば胎児に影響を及ぼす可能性はほとんどないとされています。
しかし、妊娠初期（0〜12週）では万が一を考慮して胎児の発育に影響を与えないよう、できる限りレントゲン撮影を避けることが推奨されます。
妊娠中に鎮痛薬は服用できる？
矯正治療中、歯が動くのに伴って痛みを感じることがありますが、鎮痛薬の服用には注意が必要です。一般的に、妊娠中に安全とされる鎮痛薬は「アセトアミノフェン（商品名：カロナールなど）」です。
アセトアミノフェンは妊娠中でも比較的安全に使用できる鎮痛薬とされており、産婦人科でも処方されることが多いです。一方で、「イブプロフェン」や「ロキソプロフェン」などの非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）は、使用を避けるべきとされています。
また、市販の鎮痛薬の中には妊娠中に適さない成分が含まれていることがあるため、自己判断での服用は避け、必ず産婦人科医や歯科医師に相談してから服用するようにしましょう。
分娩時はマウスピースを付けるべき？外すべき？
分娩時には思いがけない状況が発生することがあり、全身麻酔が必要になる場合もあります。マウスピースを装着したまま麻酔を受けると誤飲のリスクがあるため、外しておくことが推奨されます。
また、普通分娩では強く噛み締めることが多く、マウスピースが破損する可能性もあるため、産気づいた際は、速やかに外すよう意識しましょう。
そして分娩を終えた後は歯が後戻りしないよう出来るだけ早いタイミングでマウスピースを装着しましょう。安全な分娩を迎えるために、事前に医師や歯科医と相談することもおすすめです。
妊娠中にインビザラインを検討されている方は、高知市の「アポロニア歯科クリニック」へご相談ください
妊娠中の矯正治療についてお悩みの方は、高知市の「アポロニア歯科クリニック」にご相談ください。当院では、インビザライン専門の矯正歯科として、一人ひとりのライフスタイルや体調に配慮した治療プランをご提案いたします。
妊娠中はホルモンバランスの変化により口腔環境が変わりやすいため、総合的なサポートが必要です。
当院では妊娠中の患者様にも安心して治療を受けていただけるよう、丁寧なカウンセリングと個別対応を心がけています。治療に関する疑問や不安があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。
初回カウンセリングは無料で、Webでのご予約が可能です。出産後もスムーズに矯正治療を続けられるよう、サポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
