口腔外科とは?
口腔外科とは、口腔(口の中)と顎(あご)、顔面付近の疾患に対応する診療科です。口腔外科では、歯そのものの治療よりも、口腔や顎、顔面付近に発生した疾患の治療が主で、治療内容は大きく次の4つに分類できます。
一つ目は、親知らずなどの歯の抜歯や、顎の骨や粘膜に発生する嚢胞や腫瘍、がんの摘出手術、交通事故などによる口の中や顔面の外傷の治療といった外科的分野です。
口の中、そして、顎の周囲の外科的治療は、歯科の中でも口腔外科が専門となります。
二つ目は、顎関節症や口内炎などの口腔粘膜疾患、炎症性疾患(口腔内周囲の炎症、膿瘍など)、口腔乾燥症、味覚異常、舌痛症、神経性疾患(顔面麻痺など)、口臭症といった症状に対する内科的治療です。
口腔外科は、口の中と顎の周囲の健康をトータルに診る診療科なおで、こうした治療も行われます。
三つ目は、インプラント埋入手術や口唇口蓋裂など顎顔面奇形の手術、歯列不正など顎変形症の手術など顎顔面の機能と外見の回復を目的にした外科治療です。
四つ目は、全身疾患(3大成人病、血液疾患、皮膚疾患など)との関連が疑われる口腔疾患の診断で、他の診療科と提携しながら総合的な診療をします。
対象となる疾患は先天性のものから後天性のものまで幅広く、さまざまな症状に対応します。
口腔外科の特徴とは
口腔外科と他の診療科の違いはどこにあるのでしょうか。
口腔外科の特徴を一言でいうと、「虫歯・歯周病・歯並び以外の、口の中と顎の周囲の疾患全般の治療を担当する」です。
「虫歯で歯が痛い」「歯周病で歯茎から血が出る」という症状であれば、一般歯科を受診しますが、「親知らずの抜歯が必要か相談したい」「口の中にできものができた」「顔が腫れた」、「顎が痛くて口が開かない」といった症状の場合は、口腔外科を受診することになります。
難しい歯根端切除術にも対応
虫歯が進行し炎症が歯の神経にまで達した場合、通常であれば虫歯に侵された神経や血管を取り除く「根管治療」を行います。
さらに根管の先端に膿がたまる「歯根嚢胞(のうほう)」を発症してしまうと、根管治療を行っても再発し、いつの間にか症状が悪化してしまうというケースもあります。
私たちは歯を残す治療や歯根端切除術、意図的再植術を積極的に行っています。経験豊富な歯科医師が、根管治療では完治させることができない難症例にも、歯根端切除術によって対応します。
他院で「抜くしかない」と診断された方も、一度当院へご相談ください。
歯根端切除術についてよくある質問
- Q. どのようなときに歯根端切除術を行うのですか?
- A. 歯根端切除術を行うのは次のようなケースです。
- 1. 歯根の先端にできた膿の袋などが大きく、根管治療では対応できない。治る見込みがない
- 2. 歯根が曲がっていたり、根管が細すぎて歯根の治療がきちんと行えない
- 3. 歯に土台が入っているが、土台を外すことで根が割れる恐れがある
- 4. 過去の根管治療で器具の破折片が残っていたり、根の中に詰めている薬剤が根の外に飛び出している
- 5. 歯が強い衝撃を受けて根の先端部分が折れてしまっている
- 6. 一度歯根端切除術を受けたが、再発した
抜歯しかないと言われた歯を残す”歯根端切除術
神経まで達した重度の虫歯の治療法として根管治療が行われます。
しかし、根管治療が不十分だと歯根の先端に嚢胞ができることがあります。
この場合、再度根管治療を行うこともありますが、歯科医によっては「抜くしかない」との診断もありえます。
こうした場合も症状によっては「歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)」で歯を救えることがあります。
- 歯根嚢胞とは
- 根管治療を受けた方が、虫歯で再治療を受けるケースがあります。こうした場合、多くは「歯根嚢胞」が原因です。歯根嚢胞は、根管の先端に膿がたまる病気。
放置すると激しい痛みが出るだけでなく、顎の骨を溶かしてしまうために、歯が抜けた後、インプラントを入れようとしても治療が極めて困難になります。
根管治療で歯を残せても、歯根嚢胞によって再治療を余儀なくされれば、通常の歯科医院では「抜歯するしかない」と判断される可能性が高いのが実情です。
「抜くしかない」と言われた歯も回復の見込みが
歯根端切除はどんなに経験がある歯科医師でも、思わず息をこらしてしまうほど繊細な手作業を必要とする手術です。それだけに手術の成功率は通常、それほど高くはありません。
大学病院での手術やマイクロスコープを用いて行った手術でも、逆根管充填を行っていないようなケースがあり、そうしたケースでの失敗例も報告されています。
しかし、歯根端切除は一度失敗しても終わりではありません。正しい手術を受ければ回復する可能性もあります。
他院で「抜くしかない」と診断された方も決してあきらめず、一度当院にご相談ください。
口の中と顎の周囲の健康を守る口腔外科
口腔外科は、口の中と顎の周囲の健康を守るのが役目です。治療内容は、口腔や顎、顔面の外傷に対する外科的治療、粘膜や神経に対する内科的治療、外見を改善する審美的治療などです。
一般的に「歯医者」と呼ばれる一般歯科では虫歯や歯周病の治療を主に行っていますが、口腔外科の専門医はそうした治療を基本的には行いません。口腔や顎の周囲に関する悩み事や不安があるのに、どこで相談したらよいかわからないときは、まず一度当院にご相談ください。
口腔外科では、口腔や顎の周囲に現れるさまざまな病気を、全身の健康状態も含めて総合的に判断して診断し治療を行います。
口腔内の異常は、歯や歯肉が原因で起こるのものばかりではありません。糖尿病や循環器疾患、膠原病、血液疾患など全身の病気が原因となって口腔に症状を引き起こすこともあります。口腔外科は口腔と顎の周囲のさまざまな病気や障害に対応する診療科です。
不安や心配事があればお気軽に相談ください。